上村愛子選手、女子モーグル4位の不思議

ソチオリンピック、フリースタイルスキー女子モーグルの、メダルを決める決勝の3本目を6人で競いましたが、1番目に滑走した上村愛子選手は、4、5、6番目に滑走した3人に抜かれて4位になりました。

それで、6番目のハナ・カーニー選手は、ターンで2回も姿勢を崩したにも関わらず、得点が上村選手よりも上だったので、視聴者から採点内容に疑問の声が出ています。

実は、私も疑問を持ちましたので少し調べてみましたが、諸説有るようです。

≪両者の得点≫

上村愛子選手
上村愛子_得点

ハナ・カーニー選手
ハナ・カーニー_得点

順位
順位

上村選手とカーニー選手の得点差

スピード
上  村:30秒46で5.86点
カーニー:31秒04で5.63点
(上村は+0.23)

エア
上  村:4.20点
カーニー:4.76点
(上村は-0.56)

上村選手の第2エア
上村愛子_第2エアー

カーニー選手の第2エア
ハナ・カーニー_第2エアー

ターン
上  村:10.6点
カーニー:11.1点
(上村は-0.5)

カーニー選手、姿勢の崩れ、1度目
ハナ・カーニー_姿勢の崩れ1

カーニー選手、姿勢の崩れ、2度目
ハナカーニー_姿勢の崩れ2


≪採点に不満の声≫

【五輪】モーグル上村愛子が4位でメダルならず 採点が明らかにおかしいと世界中から批難殺到 - Ameba News [アメーバニュース]】

「アメリカの3位はおかしい! やっぱり、アメリカの審判が高く評価してたんですね。これだから採点競技はフェアじゃないし後味悪い」

「俺も最後の人には勝ったと思いました。おそらくは、1番目に滑った上村愛子ちゃんの滑りを基準にして、2番目と3番目は採点された。しかし4番目がそれを上回る滑りをしたので、新しく4番目が基準になった。その結果、6番目の選手は4番目との比較で採点された」


≪カーニー選手、高得点の諸説≫

1.コースの違い

【日刊ゲンダイ上村愛子の敗因もロクに説明せず…五輪実況と解説に疑問符】

「上村選手は、向かって右側のコースを選んだが、右側のコースの方がコブの大きさや配置が簡単、、、他の選手は難しいといわれる中央付近のコースを滑った、、、」

と、書いてあります。確かに両者のコース取りは違います。しかし、コースの違いで採点が違うとしたら、予め、選手を含めた関係者に公表してあると思うのですが、、、

上村選手の選んだコース
上村愛子_コース取り

カーニー選手の選んだコース
ハナ・カーニー_コース取り


2.ターン方法と基準点の違い

【上村愛子4位に終わったカラクリ 「採点基準変更」に負かされた (1-2) J-CASTニュース】

<ターンの違い>
上村選手はカービングターンで、カーニー選手はズレを入れたターン。

「近年は「(スキーが)スライドしても上半身が安定して動かず、下半身でスキーを巧みに操作するターン」が重要となり、米国やカナダの選手の間で主流となった。タイムは劣っても、上体がぶれにくいので高評価につながる。一方上村選手は、スキーのエッジ部分で雪面をとらえ、彫り込むように滑る「カービング」の技術が優れている。直線的に滑れるのでスピードが増す半面、上半身が揺れているように見えるという。2010年のバンクーバー大会ではカービングが最も重視されたが、その後は上体が安定しているかどうかも評価ポイントに加わったようだ」

<基準点の違い>

「スタートから第1エアまでの間の滑りで審判が選手の基準点を決め、その後ミスがあれば減点していく方式なのだという。銅メダリストとなったカーニー選手の場合、上体がぶれない滑りとして基準点が高く設定されたようだ。そのため第1エアの着地後にバランスを崩して多少減点されたとしても、基準点が低くつけられた可能性の高い上村選手を総合点で上回ったとみられる」

等と、書いてあります。しかしまず、カーニー選手のズレを入れたターンでは「上体がぶれにくい」というのですが、それなら姿勢も安定させやすいと言う事でしょう。カーニー選手が2度も姿勢を崩したという事は、カーニー選手の技術が未熟で、逆に、「上体がぶれやすいが高速で滑走出来る」カービングターンで、上村選手が姿勢を崩さなかったと言う事は、上村選手の技術が格段に勝っていたという事にならないのでしょうか?

それから、「第1エアまでの滑りで基準点を決める」の意味も良く分かりません。第1エアまでの滑りがターンの得点を左右するなら、それ以降のこぶを無くせば正確な技量を競えます。私はむしろ、エア以降のバランスを崩し易い所を、如何に崩さずに早く滑走するかの競技だと思っていましたが、、、

ズレを入れたターンとカービングターンの違い
スライドとカービングターン
バンクーバー五輪 コラム「メダル候補者たちの武器」- モーグル上村愛子 nikkansports.com


3.ベース点が決められていた?

【上村愛子、メダルに一段届かなかった理由 - スポーツナビ】

「去年の夏くらいに、ジャッジクリニックがあって自分のベース点を定められました。それをシーズン中には知っていたのですが、私のベース点がすごく低いんです」と不利な状況にあることは自身でも認識していた。

と、書いてありますが、ベース点って何でしょう? ターンの種類で付ける点でしょうか? それとも、それまでの成績で個人に付けられる点でしょうか? ネットで調べても分かりませんでした。


4.ワールドカップランキングが、ベース点?

「カーニーはミスしても大きな減点はないが、5位のCoxや6位のOuttrimはしっかり減点され、上村よりも大きく点が開いた。 やっぱり普段からワールドカップで勝って、3番までのゼッケン番号をつけないとだめなんだ」
【なんJ専】女子モーグル 2ちゃんねる】

ゼッケン番号は、ワールドカップのランキングだそうですが、今回のメダルはゼッケン番号1、2、3、が取りました。

1位のジュスティーヌ・デュフールラポワント選手は2番。
2位のクロエ・デュフールラポワント選手は3番。
3位のハナ・カーニー選手は1番。
4位の上村愛子選手は12番。

”ひるおび” というテレビ番組でも、オリンピック試合以前にベース点が決められているという話が有りました。
今回の採点結果から逆算すると、
上村選手のベース点は、3.8
カーニー選手のベース点は、4.3
と、推測されると言っていました。


≪上村選手の感想≫

【動画 - NHK 全力応援!ソチオリンピック - <ダイジェスト>上村愛子4位 女子モーグル決勝】
(決勝3本目と、その後のインタビュー)

インタビューに答える上村選手
上村愛子_決勝後のインタビュー

決勝戦後、上村愛子インタビュー(動画の耳コピー)

(今のお気持ちは、率直に)

「あのー、ゴールした時に、あの、なんだろう、こんなに何本も本番で滑れるオリンピックって今回が初めてなんですが、ま、その、なんだろう、結構自分でも体力持つかなーとか、最後までー、全部がいい滑りが出来るかって言うのは、も、ほんとに自信有る無いって言うよりは、もう、とにかく全力で滑らなきゃいけないと思ってて、もう全部終わった時に、あのー、点も見ずに泣いてました。

はい、良かった、いい滑りが、あの、なんですかねー、やっぱりメダルは本当に、あ、取れたかなと思ったんですけど、たぶん入ったかなと思ったんですけど、ま、点数は点数で、あ、今回また4番だったんだなという、ま、結果はあのー、なんだろう、メダル取れなかったというだけなんですけど。

でもなんですかねー、すごい清々しい気持ちで、あのー、これまで、なんだろう、ソチまで準備してきた事だったりとかー、こういう風に滑りたいとか、失敗なくこう攻めてとにかく滑りたいって言うのが、3本全部かなったので、それがね、なんか清々しい気持ちになるんだなーていう、はい、気持ちになりました」


≪上村選手の気持ちを分析≫

私は、今回のソチオリンピックで初めて、女子モーグル採点の複雑さを知りましたが、上村選手は3回目に参加したトリノオリンピックで既にその事を感じていたように思われます。

「難易度が高いエア技を成功させたにもかかわらず、メダルを獲得できなかった同大会終了後のインタビューにおいて、薄っすらと悔し涙を浮かべ、『一体どうすればオリンピックの表彰台に乗れるのかが…ナゾです…』とコメントした。」

トリノオリンピックで、上村選手の見事なコーク720
(コークスクリュー・セブントゥエンティー)
コーク720

【コークスクリュー720とは - 意味-解説-説明-定義 : スポーツ用語辞典】

エア技ではトップになったにも関わらず、5位の結果になった事が納得出来なかったのでしょう。

その後、2006年からはヤンネ・ラハテラ氏がコーチとなり、採点配分の低いエア技にこだわる上村を説き伏せ、ターン技術とスピードアップを求め、負傷に苦しんだ上村を励まして徹底した走法改善を施した。これにより、従来苦手としていた上村のターン技術が飛躍的に向上したそうです。

しかし、4回目のバンクーバーオリンピックでは4位とメダルに手が届きませんが、それ以上に、7位→6位→5位→4位と、4年毎のオリンピックにも関わらず1段ずつ順位が上がる事に驚愕したと思われます。

誰だって思いますね。調子の良い時も悪い時も有るのに、1位ずつ上がるなんて、審査員が故意にやろうとしても無理だし、自分が意識して努力しても無理です。

おそらくその時から、次回のソチオリンピックは、どんな順位になろうとも自分の出来る限りの技術を出し切るしかないと考えたのだろうと思います。


以下、「上村愛子 - Wikipedia」より抜粋した内容

1回目:7位(長野オリンピック)
1998年、18歳で初の五輪出場となる長野オリンピックでいきなり7位入賞

2回目:6位(ソルトレイクシティオリンピック)
2002年、自身二度目となるソルトレイクシティオリンピックに出場。メダル獲得が期待されたが、わずかにエアの着地が乱れ、滑走のスピードも伸びずに6位入賞に留まった

3回目:5位(トリノオリンピック)
2006年、トリノオリンピックに三度目の出場。女子選手では稀な大技エア「コークスクリュー(空中で縦方向と横方向の両方に身体を回転させる、3Dエア)」を成功させるも、得点は伸びず5位入賞に終わった。難易度が高いエア技を成功させたにもかかわらず、メダルを獲得できなかった同大会終了後のインタビューにおいて、薄っすらと悔し涙を浮かべ、「一体どうすればオリンピックの表彰台に乗れるのかが…ナゾです…」とコメントした。

4回目:4位(バンクーバーオリンピック)
2010年2月13日バンクーバーオリンピックに臨んだ。4位入賞。冬季五輪で4大会連続入賞を成し遂げたが、又しても悲願の冬季五輪メダル獲得はならなかった。競技終了後のインタビューにおいては、全力を出し切ったことに対する満足感を述べつつも、メダル及び表彰台を逃した事については「何で、こんなに一段一段(7→6→5→4位)なんだろうと思いましたけど……」と無念な心情も吐露した。

5回目:4位(ソチオリンピック)
2014年2月、ソチオリンピック、6人によるメダルを賭けての決勝3回目では1番スタートで20.66点を出して残り3人までトップをキープしたが、最後の3人に抜かれて4位に終わり、5度目の五輪でも悲願のメダルには届かなかった。競技終了後のインタビューで「メダルは獲れなかったけど、すがすがしい気分。全力で滑れたことで点数見ずに泣いてました」と、目を潤ませながらも、笑顔を浮かべた。また、五輪出場はこれが最後となることも示唆した。



≪感想≫

上村愛子選手は、16年間の5回の冬季オリンピックで、5回とも入賞を果たしました。その間、メダルは手に出来なかったものの、トリノではコークスクリュー720の技も決め、ソチでは最速の滑りも決めました。まぎれも無く、世界のトップレベルの選手と言えるでしょう。

彼女の試合後の感想を聞いても、過去の発言から推測しても、今回のソチでメダルがほしかった事は間違い有りませんが、例えどんな順位になろうとも受け入れる心の準備は出来ていたようです。それ以上に、どんな順位になろうとも後悔しない滑りをする事に全力を尽くしたと思います。また、それが出来た事が何よりも嬉しいのだと思います。

審査員の4位という採点にもかかわらず、多くの人が3位の銅メダルがふさわしいと感じた素晴らしい滑りでした。

≪補足≫

上村愛子選手のブログに、2月10日付けの投稿があります。
上村愛子オフィシャルブログ


≪追加≫

カービングターンの採点基準に関して、jijiski63さんの説明が正確なように思われます。

モーグルのカービングターンとスライドターンでカービングの方が 点数が抑えられて... - Yahoo!知恵袋
このサイトで、質問に対する4番目の回答です。申し訳ないのですが、間違わない為に以下に全文をコピペしました。

 jijiski63さん
カービングターンの方が点数が低いということではないようです。数年前まではカービングターンが採点の要だったのが、最近は、カービングターンと吸収動作、上体の安定の3つが並列で重要とされるように採点基準がかわり、その結果、吸収動作、上体の安定がやり易い少しズレを入れたターンのほうが得点が得られるようになったとのことです。よって、カービングターンでもズレを入れたターンと同等の吸収動作、上体の安定性があれば、ズレを入れたターン以上の高得点が出るということです。しかし、それは難しいそうです。昨秋の審査員の研修で3つの要素を重要視することは徹底されており、例題として取り上げられた上村選手の過去の映像は、頭の上下動が大きいので8段階ある採点レベルで上から3番目と採点するように指示されたとのことです。上村選手も、このことは知っていたようですが、カービングターンに強い拘りをもっており、吸収動作と上体の安定性で劣っても、アグレッシブ要素でカバーできると考えていたようです。いまさら、滑りを変えても間に合わないということもあったかも知れませんが・・・。
この採点基準は男子にも適用されます。
          回答日時:2014/2/11 13:51:26


≪お詫び≫

”スライドターン”という表現は適切ではなくて、正しくは、”ズレを入れたターン”と表現するようなので、訂正しました。

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わかりやすかったです

詳細な調査とわかりやすい解説、ありがとうございました。

Re: わかりやすかったです

そう言って頂くとありがたいです。
例えば、カービングターンでも、どんな特徴のある滑り方か分からないので、自分が理解できるような資料を探しました。それで、同じような疑問を持った人の役に立つかもしれないと思って載せました。
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